夜の魅力を味わうエッセイ。角田光代さん「幾千の夜、昨日の月」【今日の本vol.1】

寝る前の読書にぴったりな本を探している人におすすめしたいのが、今回ご紹介する角田光代さんの「幾千の夜、昨日の月」です。夜の魅力を味わいたくなるエッセイ。

こちらの記事では、角田光代さんの「幾千の夜、昨日の月」をピックアップしました。内容や感想、魅力をご紹介します。

今日のセレクト本とは?
今回から始まったこちらのコーナーでは、年間150冊近く読書をする管理人が、おすすめ本をご紹介するコーナーです。一冊ごとにピックアップして内容や魅力をお伝えします。

幾千の夜、昨日の月の内容

幾千の夜、昨日の月は、角川書店出版の角田光代さんのエッセイ。角川文庫から文庫本サイズも出ています。BOOKデータベースによると、本書の中身はこんな感じです。

初めて足を踏み入れた異国の日暮れ、夢中で友と語り明かした夏の林間学校、終電後ひと目逢いたくて飛ばすタクシー、消灯後の母の病室…夜という時間は、私たちに気づかせる。自分が何も持っていなくて、ひとりぼっちであることを―。記憶のなかにぽつんと灯る忘れがたいひとときを描いた名エッセイ。

とにかく夜について、考えさせられる、だけど自分の過去の温かな気持ちを思い出させてくれるほっこりするようなエッセイです。

幾千の夜、昨日の月の感想・魅力

ここからは、「幾千の夜、昨日の月」の感想をご紹介します。魅力ポイントは以下の3つ。

①子どものころの夜を思い出す
②旅先で出会う異国の夜
③寂しくなった孤独の夜

詳しく解説していきます!」

①子どものころの夜を思い出す

子供の頃の角田さんにとって、夜は存在しませんでした。暗闇でしかなく、外にも行かずに家にいたからというのは納得。子供ながらの感覚だなと感じます。そんな感覚を大事に覚えておけるのもすごいなと思ってしまいます。

一方私は習い事が夜遅くにあったので、夜は出歩くものでした。もちろん危ないと言われていたので、終われば真っ直ぐに家に帰ります。それでも大人しかいない夜の街を歩くこと、大人に混じってバスを待つこと、キャバクラの呼び込みのボーイの横を足早に通り過ぎることなど。

小学生の私にはとても新鮮で、なぜだか誇らしいものでした。そんな感覚を思い出させてくれました。

②旅先で出会う異国の夜

魅力の2つ目は、旅先で出会う異国の夜です。旅先で出会う異国の夜たち、走る豪華ホテルと呼ばれているオリエント・エクスプレスで過ごす最高の夜行列車など。一人旅で夜が怖く感じるというのはすごく共感してしまいます。

なかなかのインパクトがあったのが「地獄列車」の話。ミャンマーで乗った夜行列では、車窓から入ってくる虫と、足元を駆け抜けるネズミに耐える「地獄列車」だったそうです。ふと私もインドの「ゴキブリ列車」を思い出しました。

枕、ブランケット、壁、床などいたるところにゴキブリがうじゃうじゃ。夏だったのですが、暑いのを我慢してバックパックから長いパンツ、靴下、パーカーを着込みガードをしました。それでも肌の露出が嫌だったのでパーカーを上まで閉めて、フードを被り、紐をキュッと閉めて出ているのは目だけというファッションを貫きました。

「あの子、なんて格好してるんだよ!」(と言っているように聞こえる)と周りのインドのおじちゃん達に笑われながら12時間以上、過ごしました。そうです、案の定ろくに眠れずに過ごしました。またその夜に戻りたいわけではないけれど、懐かしい思い出が蘇ってちょっとほっこりしました。

③寂しくなった孤独の夜

寂しい夜は誰にでもありますよね。角田さんも例外ではありません。オールしてしまうほどの体力があった頃や、無性に誰かと話したくなって電話したころ、私にもあったなと思い出してしまいました。

私は角田さんは大人しくて芯の強い女性、というイメージだったのですが、ちょっと意外な一面を見られた気がしました。エッセイの醍醐味ですよね。

幾千の夜、昨日の月のまとめ

きっと誰にでもある「夜」の時間。その感覚や過ごし方は人それぞれだけれど、昔感じたことやふと不思議に思っていたことはきっと誰の胸の中にも眠っているはずです。

そんな感覚をそっと思い出させてくれるような時間を味わえます。夜の読書にぜひどうぞ。

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「卵を買いに」ラトビアに恋した小川糸さんのエッセイ【今日のセレクト本vol.23】

作家の小川糸さんが毎年出版するエッセイは、海外生活や日本での丁寧な暮らしが詰まった魅力あふれるエッセイです。こんな生活したいなと思わず憧れてしまう人も多いはず♡

こちらの記事では、幻冬舎文庫出版の小川糸さんの「卵を買いに」をピックアップしました。内容や本の魅力、感想をご紹介します。

「卵を買いに」の内容

「卵を買いに」は糸さんが毎年出している日記エッセイです。毎年タイトルが違いますが、絵のテイストが似ているのですぐに「あ!今年も出てる!」とわかります。

1月から始まり、12月の年末を迎えるまでの日々が日記のようにまとめられています。1ヶ月に4〜5本くらいのペースで書かれているので、糸さんの仕事の流れや、スケジュール感、そしてこんな国に行っているんだということがわかるんです。

作家さんなのですが、いろいろな国に旅をしています。取材の旅もありますが、夏は避暑を兼ねてベルリンとか。なんともゴージャスかと思いきや、地に足をついた暮らしをされているので、慎ましくて丁寧で憧れてしまいます。

「卵を買いに」の内容の魅力・感想

「卵を買いに」の魅力は以下の2つ。

①ラトビアに恋してしまう
②愛犬「ゆりね」がかわいすぎる

ラトビアのことも知れるし、とくにゆりねがかわいすぎて、胸キュンものです。

①ラトビアに恋してしまう

今回の目玉はラトビア!糸さんは取材で訪れていますが、その歴史的背景に私も驚きました。ソ連占領下にあったとき、ラトビアの人々は伝統衣装も踊りも、国の歌を歌うことすら禁止されていました。

そこで彼らは独立を目指すのですが、その方法が素晴らしいんです。武器を持つのではなく、「歌を歌う」ことで革命を起こし独立を果たします!そして今、伝統的な衣装を着てダンスができることに誇りを持っていてキラキラしているんです。

ちょうど糸さんが訪れたのが5年に1度行われる「歌と踊りの祭典」。地方からラトビアの首都リガに集まった子供達が、それぞれの伝統衣装を着て歌い踊ります。選ばれた1万5千人がステージに立ち、7万人の観客たちが見守る。ソ連からの迫害にも耐え、守ってきた自分たちの伝統が一気に解放される祭典。

考えただけで胸にこみ上げてきます。ラトビアといえばバルト三国の一国ということしか知らなかったけれど、こんな背景があって、自分たちの国に高い誇りを持っているとはしりませんでした。

振り返れば、私自身も日本文化は好きだけど、それを自分が発信して行こうとか、伝統を守るために学ぶということを自主的に行っていない。国を上げて、ラトビアの人々は自国の誇りと伝統を守ろうとしている姿がとても美しく思いました。「歌と踊りの祭典」をぜひ訪れてみたくなりました。

ちなみにこの取材を元に描かれたのが「ミトン」という小説。涙ありの美しい小説です。

愛犬「ゆりね」がかわいすぎる

そしてもう1つ注目はゆりねの成長です。糸さんの愛犬は、表紙にも描かれている白いもふもふのワンコでその名も「ゆりね」。ちょっとずつ大きくなっていく姿や、糸さんがかわいがっていることが伝わってきて会ってもいないのに愛しくなってしまいます。

近所の仲良し犬との交流なんかも描かれていて、なかなか仲良しのわんこ仲間がいない私は影ながら憧れてしまいます。しかもちょうど私は愛犬ココをお留守番させて実家に帰省していた最中。とても会いたくなってしまいました。

「卵を買いに」のまとめ

今回もフィンランド、ベルリン、そして北海道のニセコなど様々な国や地域に赴いている糸さん。でも1番はラトビアでした。なかなか旅したことがない方も多いと思うので、空気感が新鮮に映るはず。味わってみてくださいね。

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「最初の、ひとくち」益田ミリさんの食べ物エッセイ【今日のセレクト本vol.7】

最初の一口って、ドキドキするけれど意外に忘れてしまいますよね。そんな気持ちを思い出させてくれるのが、益田ミリさんのエッセイです。

こちらの記事では幻冬舎から出版されている益田ミリさんの「最初の、ひとくち」をご紹介します。エッセイの内容や、魅力・おすすめな人をまとめました。

「最初の、ひとくち」の内容

「最初のひとくち」は、ミリさんが子供のころから今までに出会った、「初めての味」について綴られたエッセイです。たとえば以下のようは最初の一口が掲載されています。

● とんがりコーン
● コーラ
● フルーチェ
● ハーゲンダッツ
● バイキングでの出来事

読んでいて、「そういえばそうだったかも♡」と懐かしく、心が温かくなるようなものがいっぱいです。ちなみに私は悲しいくらい全然覚えていないものが多く、読みながら、鮮やかに味やその当時の思い出を語るミリさんを「なんて可愛い方なんだろう」と何度も感じてしまいました。

著者の益田ミリさんとは

益田ミリさんは大阪府生まれのイラストレーターです。小説やエッセイ、漫画が人気で「すーちゃんの恋」を始めとしたすーちゃんシリーズは根強い人気。

益田ミリさんの文庫コーナーにはこれでもかというくらい楽しい本がたくさんあって、とくにアラサー女性は「わかるわかる」と共感の嵐です。私の本棚にも益田ミリさんの文庫本がこれでもかというくらい入っていて、おすすめ本が何冊もあります。

「最初の、ひとくち」の魅力

話は戻って、「最初の、ひとくち」の魅力は以下の2つ。

①子供時代の記憶が鮮やか
②ラーマ

詳しくみていきましょう。

①子供時代の記憶が鮮やか

ミリさんの子供時代の記憶はとっても鮮やか!親戚にもらったことや、食べたくて仕方なかったこと、思ったほど美味しくなかったけれど頑張って食べたことなど数々の思い出が登場してきます。

忘れていた気持ちを思い出させてくれたり、すぐに過ぎ去ってしまうような細かいところに心を止めてくれるのが、益田ミリさんの大きな魅力です。

②ラーマ

中でも「ぷっ」と笑ってしまったのが、「ラーマ」のお話。「ラーマ」は1977年に発売されたマーガリンなのですが、この時のCMの「軽い」という表現にみりさんは釘付けになってしまいます。お母さんにおねだりしても、今使っているマーガリンがなくなったらと先送りにされてしまいます。

そんな中、親戚のお家に行くとその「ラーマ」があるということを知り、ご馳走になるんです!そこからが面白かったのでここで終わりにしますが、こういう記憶はきっとみんなの中にもあるんじゃないかなと思います。

「最初の、ひとくち」がおすすめな人

「最初の、ひとくち」がおすすめなのは、以下の人。

● 食べ物が大好き
● 子どもの頃の記憶を思い出したい
● 益田ミリさんワールドが大好き
● ほんわかしたエッセイが好き

益田ミリさんのエッセイは「よっしゃ!頑張ろう!」という本ではなく、心がポッと温かくなるような雰囲気です。日常に幸せを感じたいとき、ちょっと現実逃避をしたいときにぴったりです。

これを読みながら私も「フルーチェ」のことを思い出しました。とても食べたくてスーパーに行く母に買ってきてらいました。しかし、あまり好きなれずに微妙な反応をしてしまい、子供ながらにいたたまれない気持ちになったな…という思い出。

母もあまり好きではなかったようで、それは我が家の笑い話になっています。こういうことをきっかけに出てくる思い出って大切にしたいなと思ってしまいました!ミリさんほどに「最初の、ひとくち」を覚えていないことが少し切なかったけれど、ほんわかあったかい気持ちになりました。

「最初の、ひとくち」のまとめ

 

最初の、ひとくちはミリさんの魅力が詰まったエッセイです。食べものが好きな人はきっと好きなはず。小さな思い出をミリさんと一緒に思い出してみてくださいね。

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前進する日もしない日も大人を楽しめる!益田ミリさんエッセイ【今日の本vol.31】

大人になったからこそ楽しめることってありますよね。私も高級レストランでディナーをしたり、有名ホテルで宿泊をした時に「大人になったなぁ」と感じたものです。だけどまだまだできなことも多いし、感情的になってしまうこともある。

「私だけじゃないよね?」と確かめたくなる時にはぜひ手にとってほしい益田ミリさんの「前進する日もしない日も」です。本の感想や魅力をご紹介します。

前進する日もしない日もの内容

前進する日もしない日もは、幻冬社文庫から出版されている益田ミリさんのエッセイ。益田ミリさんは「すーちゃんの恋」「僕の姉ちゃん」など漫画やエッセイで知られる作家さんです。

アラフォー女性の日常のエッセイ

こちらのエッセイは、30代後半〜40歳を迎える日々が描かれています。私は31歳なので、「これからこんな素敵な日々が待っているのか!」とウキウキしてしまう部分と、「まだまだ私と変わらないことを感じてしまうんだな」という共感が湧いてしまいます。

たとえば、私は先日良かれと思って「もっとものを捨てた方が良いよ!」とあれこれ親に言ったことがありました。でも、長いこと過ごしてきた時間や習慣が生んだ結果なのだから「あんなこと言わなきゃ良かったんじゃないかな」とあとで後悔してしまいました。

ミリさんも同じようなことを経験していたんですよね。「みんなそうなのか」と思うとホッとする部分と、「誰でもしちゃうのかな」と気恥ずかしくなる部分があります。親を大切にしたいな、という気持ちもそっと後押ししてくれます。

前進する日もしない日もの魅力・感想

魅力はこちらの3つ。

①肩の力が抜けている
②ときたま名言が入っている
③大人の遊び方が知れる

それぞれについて詳しくご紹介します。

①肩の力が抜けている

ミリさんのエッセイは、肩の力が抜けた感じが最高です。散歩していた時に感じたことや、ふとした日常に幸せを感じたり、電話の応対相手の対応に疑問を感じたり。やり過ごしてしまうようなことも丁寧に、だれかを傷づけるような言葉を使わずに綴ってくれるから安心して読むことができます。

②ときたま名言が入っている

ミリさんの日常は肩の力が抜けた様子なのですが、時々名言が入っているのでドキリとします。(時々、というのは失礼?笑)

完璧に幸福な一日が人生に何回あるのかは知らないけれど、今日はその一回に入るのかなぁ。

私はしみじみと「今日が幸福な一日だな」と感じたことはなかったかもしれません。こんな時ミリさんの立ち止まって感じる感性が素敵で、すごいなといつも感じてしまいます。

③大人の遊び方が知れる

ミリさんは仲の良いお友達とちょっとしたご褒美旅行に出かけているようなのですが、その中の1つが魅力的でした!それが、愛知の犬山市のリトルワールドで、女友達ととことん各国の衣装を着まくる「変身ツアー」というもの。

衣装を着るのが1回300〜500円かかりますが、ミリさんたちは10回くらい着替えたそうです!これは大人だからなせる技。リトルワールドは聞いたことがあったけれど、こんな使い方ができるとは!な発見でした♡

今のままでも良いと思える自分になる

ミリさんの日々を読んでいると、このままの自分でも良いんだな!という気持ちになれます。だって、感じるのは人それぞれだけど、それを楽しめば良いんだと思えるから。

それが大人の楽しみ方なんだなと思います。嫌なものは嫌、良いものは良い、そんな姿勢を学ぶことができます♡

益田ミリさんのブログ

ちなみに本のタイトルと同じ「前進する日もしない日も」という益田ミリさんのブログが、幻冬社plusで綴られています。日々のアレコレをもっと身近で感じられるかもしれません。

CHECK

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「浄化の島、バリ」浅見帆帆子【今日のセレクト本vol.50】

突然ですが、あなたは「バリ」に行ったことがありますか?海も山も自然をたっぷり味わえるアジアのリゾートとして人気のバリ。神々の島としても有名で、そのエネルギーのオーラをたっぷりと味わうことができる島でもあるそう!

こちらの記事では「引き寄せの法則」でも有名な浅見帆帆子さんが、8日間滞在したバリでのエッセイ「浄化の島、バリ 神々の島、バリでつながる」をご紹介します。内容や魅力をまとめました。

「浄化の島、バリ」の内容

神々の島と呼ばれるインドネシアのバリ島での体験がまとめられたエッセイです。8日間の滞在の初日から濃密な時間を体験していて、まるでガイドブックには載っていないようなバリの魅力、空気感が味わえます。

帆帆子さんは、自分が「浄化」されているのを自然と感じ、本当の自分とつながれる感覚が持てたのだとか。これからバリに行く人、ハッピーな人生を送りたい人、浅見帆帆子さんワールドに浸かりたい人にぴったりでしょう。

著者の浅見帆帆子さん

帆帆子さんは「引き寄せの法則」でも有名な方で、宇宙とつながっているんだそうです。私もその世界についてはちょっとわからないのですが…友達にファンが多いのと、写真や文章から伝わる帆帆子さんのオーラから、きっと見えない世界が見えているんだろうなと感じています。

例えば帆帆子さんの本に書いてあった「周りの反応がイマイチな時は、自分のレベルが下がっている合図」ということ。周りの反応がイマイチというのは、バスの運転手さんが不親切だった、いつもはニコッとしてくれる人が無愛想だったなど、気持ちよくない状態のことです。

そんなときには、掃除をしたり、周りの人に自分から親切にしたりと、自分のレベルをあげてみること必要なのだそうです。実際に実行してすると、本当に周りの人たちから良くされるようになりました!こんな風に、帆帆子さんの宇宙とつながっている法則というのは、少しだけの実践で形になるので驚いています。

浄化の島バリの魅力

浄化の島、バリの魅力は以下の2つ!

①バリのエネルギーを感じられる
②日本とバリの神の違いが知れる

①バリのエネルギーを感じられる

帆帆子さんによると、「バリは神々の島だから、着いた途端に頭が痛くなる」こともよくあるほど、高いエネルギーに満ちている島だそう。帆帆子さんのエッセイは日記みたいに、帆帆子さんの感じたことや考えが書いてあるので変化が伝わってきます。

違和感を感じたり、気持ちい!と感じる様子がありありと。バリに人たちの優しさや魅力、そして神様と自然に繋がっているんだということがよくわかりました。

「バリ時間」というルーズな部分はあるけれど、「時間はたっぷりある」という心の余裕もたっぷりある。ガイドブックには載っていないような魅力もたっぷり伝わってきます♡

②日本とバリの神の違いが知れる

中でも、帆帆子さんが日本の神とバリの神の違いについて感じたことが面白かったので紹介します。

人間に例えるなら、日本の神様は、繊細でまろやかで丁寧な物腰豊かな人。でもルールを間違えたり、不義理をしたり、ご挨拶や行事のしきたりなどを省くとうるさそうな人。(P.99)

日本の神様について考えてみたことはなかったけれど、たしかにどんな些細なことでも見守ってくれているような、そんな雰囲気は感じていました。包み込んでいるような雰囲気です。

一方バリの神様は、粗野な部分も多いけど、しきたりとか順序とか、そういう細かいところで粗相があってもグチャグチャ言わなさそう。細かいことは気にされない。でも繊細な気遣いや微妙な察しのエネルギーはないので、自分でしっかりと摑んでいくしかない

バリの神々は荒々しいみたい(笑)お国も違えば気候も違う。日本は神道だけど、ヒンドゥー教は破壊から生まれる神様。その背景も影響しているのかもしれません。

そんなエネルギーのことを教えてくれる人はなかなかいないから、帆帆子さんの感じていることは、これからバリに向かう私は自分で確かめてみたくてウズウズしてきたことはいうまでもありません!

読んでいるだけで浄化されていく気分

読んでいるうちに憑き物がドバーッと取れて行くみたいに、スッキリしたことも魅力でした。

浄化=運が良くなるに決まっている

そして「掃除をして気持ちいい」という感覚も、帆帆子さんにとっては当たり前のことのようです。

掃除をして運が良くなるなんて、至極当たり前のことだ。自分のいる空間を浄化することで、邪魔していたなにかが取り払われ、その人の本来のエネルギーにふさわしいことが引き寄せられてきたり、からまっていたことの流れが良くなったりする。それを人間の私たちは「ラッキーなことが起こった、新しい変化が起こった、トラブルが解決した」というように感じるだけなのだ。(P.82)

レッツ掃除。レッツ浄化!みんなでハッピーになりましょう。エッセイですが、帆帆子さんの考え方やエッセンスがたっぷりと詰まっているので、少しずつ取り込んでいきたいな、何度も読み返したいなと思ってしまいました!

バリのエネルギーを味わいたくなる一冊

バリ滞在8日間の1日目から、濃厚な時間を味わっている帆帆子さん。ガイドブックには載っていない空気感がたっぷり味わえました。

バリに行くのが楽しみになり、まだまだ知らない世界が知りたくなる一冊です。なかなか外出できない人も、ぜひ外国の空気を味わってみてくださいね。

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91歳の瀬戸内寂聴さんエッセイ「死に支度」【今日のセレクト本vol.9】

現役僧侶で作家の瀬戸内寂聴さん。出家して僧侶として生きてきて、「毎日が死に支度」と人生を振り返ったのがこちらのエッセイ。

今回は講談社から発売されている瀬戸内寂聴さんの「死に支度」をピックアップしました。瀬戸内寂聴さんのファンはもちろん、人生の先輩として多くの女性におすすめする本です。

ドキッとするタイトルの中に綴られる寂聴さんの日常

『死に支度』だなんてドキッとしませんか?瀬戸内寂聴さんについて名前くらいしか知らなかった私ですが、先日テレビで拝見してからというもの、興味津々の方になりました。

というのも、「夫や子供を捨てて不倫相手の元へ逃げたのに、不倫相手にも逃げられてしまい一人になった」というストーリーが紹介されていたからです。てっきり出家した真面目な尼さんだと思っていたのでその大胆すぎる恋愛にびっくり。

どうしても寂聴さんのことが知りたくなってしまいました。この本は、91歳の寂聴さんの日常や過去の回想などが詰まったエッセイです。

本当に死を意識していることがありありと伝わってきました。というよりも、飽きているというのが正しいのかも。「死にたい!」「もう生き飽きたよう!」と何度も出てきているんです。だけど、毎日はとても忙しそうで、秘書のモナとのやりとりが爆笑に包まれていて、とっても楽しそうなのです。

秘書のモナさんとの年の差は66歳!

66歳も年の離れた秘書を持つ、寂聴さんですが、二人はとっても仲良し。「コーヒーほしいなう」「おっけーなう」などなう語の練習をしたり、エイプリルフールには「生理がこない」と妊娠したと嘘をついて寂聴さんを騙してみたり。

モナさんの天真爛漫で愛に溢れたジョークに寂聴さんだけでなくこちらもほっと笑顔になってしまいます。言いたいことを言って、仲が良さそうでとっても素敵。

振り返って自分を見ると、こんなに年が離れた先輩に対してこのように一緒に仕事ができるのだろうか?と考えてしまいます。するとモナさんのすごさとチャーミングさがもっと厚みを増して感じてしまいました。

生きることと死ぬこと

91歳も生きていると寂聴さんはたくさんの方を見送っていることがよくわかります。寂聴さん自身も体力の衰えを感じていて、こうして人は年をとっていくんだなということがよくわかってしまいます。

私だって20代から30代になって体力の衰えを感じたり、シミができた!とかシワが増えている!とか騒いでいることもあります。でもそんなこと寂聴さんにとっては小さいことなのかもしれない、と思ってしまいました。

たくさんのファンの方に愛されている寂聴さん。その片鱗を知ることができるのも本の魅力なのかなと思ってしまいました。寂聴さんがみんなに愛されるのはたくさんの愛を与えていることはもちろん、意外にもたくさん迷って、めちゃくちゃやって、不良だったからなのかもなーとわかったような気がします。

私ももっとめちゃめちゃやろう!と元気がもらえました。

死に支度のまとめ

何歳になってもお茶目で愛される女性って、瀬戸内寂聴さんみたいな人なのかなと思えます。91歳になっても瀬戸内寂聴さんみたいにパワフルに生きたい!と元気がもらえます。

ぜひ手にとってみてくださいね。

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ハワイのマキさんに学ぶ、ハッピーな考え方や思考法【今日のセレクト本vol.36】

ハワイのマキさんは、コーディネーターとして有名なハワイ在住の日本人。とにかくポジティブで、その考え方や思考法は私たちに元気をくれます。この記事では、Maki Koniksonさんの『MAKI’s HAPPY DAYS』をピックアップしました。凹んだり、前向きな気持ちになりたい人におすすめです。

「MAKI’s HAPPY DAYS ハワイのマキさんが365日ハッピーな理由」とは

「MAKI’s HAPPY DAYS ハワイのマキさんが365日ハッピーな理由」とは、マキさんのポジティブマインドが詰まったエッセイです。読むと元気になる言葉や、ハワイの写真が詰まっています。凹んだり、ポジティブな気持ちにして欲しい人は、読むとマキさんの前向きな言葉に励まされること間違いなしです。ここからは、いくつか読んでいて心に刺さったポジティブワードをご紹介します。

気持ちを切り替えるおまじない、Move on!

読んでいてグッときた言葉は「Move on!」です。

“Move on!”
嫌なことはさっさと忘れて 何事も立ち止まらずに 前を向いて進むのみ!気持ちを切り替えるおまじない。
「ムーブ オン!」

マキさんも若いときは尖っていて、なんでも一人でやってしまうような勝気の女性だったのかなと想像してしまいます。テレビ局で働いた後、国際結婚をしてオーストラリア、ハワイと移住。その中で子育てをしながら、会社を立ち上げてコーディネーターとして成功していったパワフルな女性です!50歳になった今は、ビジネスを切り開いてきた自信と、二人の子供を育て上げた母の愛に包まれた人に見えます。

家族の存在も当たり前じゃない

マキさんは東京に家族がいて、ハワイで子育てをしています。今は息子さんも娘さんもアメリカ本土に行ってしまっているので、家族でいられる時間は限られているんです。でもマキさんはいつも距離を感じさせません。

インスタグラムには「ハワイと東京はご近所です」と書いてあったり、すぐにヨーロッパやアフリカ、アメリカ本土に旅行する姿はパワフルすぎて、世界中が近所に感じてしまうほど。実家から離れている人も、マキさんの言葉やマインドを知ると、家族でいられる時間が愛おしくなり、もっと家族に会いてくなってしまうはず。

余裕をもったスケジューリング

マキさんはいつも忙しそうにテレビや雑誌の撮影のコーディネーターをしていますが、朝から夜中まで卒なくこなしている印象がありました。それも余裕を持ったスケジュールのおかげ。

しかも「みんながせっかくハワイに来たのだから」と熱々のマラサダを買って行ってサプライズしてあげたり、「おもてなし」の心もすごい。仕事を成功するフリーランスの先輩としてもすごく勉強になります。

ハワイのマキ・コニクソンとはどんな人?


マキさんはInstagramのフォロワー数が27.1万人(2020年7月現在)のハワイの超人気コーディネーターさんです。梨花さん、紗栄子さん、山田優さん、小嶋陽菜さん、坂上忍さん、さまーずなど芸能人ともプライベートでも仲良しのようで良く写真に上がっています。

Makiさんはとにかくハッピーマインドなので、ハワイの綺麗な景色をわたしたちフォロワーにもシェアしてくれるようなハッピーなInstagramを見ることができますよ。わたしも毎日上げてくれる朝日や夕日、照りつける太陽や緑豊かなハワイの景色に日々癒されています♡

ハワイのマキさんの本のまとめ

ハワイのマキさんの本を読むと、今の環境に感謝しながら、ムーブオンしたくなります。皆さんも毎日少しずつチャレンジすることがあるはず。一緒に頑張りましょうね!

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星野源♡また好きになったエッセイ【今日のセレクト本vol.73】

こんにちは、みさと(@mitikusa_tweet)です。

歌手、俳優として活躍している星野源さん。大ヒットした「恋」ダンスも話題になり、口ずさめる!という人も多いのではないでしょうか?♡

彼のエッセイには、作曲、アルバム制作の裏側、ドラマ撮影現場、日常生活、有名人たちとの絡みなどが盛り沢山に描かれていました。



星野源さんの『いのちの車窓から』内容

 

音楽、俳優業、交友関係、妄想など、星野源さんの日常がまとめられたエッセイ。

雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載を書籍化した本です。

中には、笑福亭鶴瓶さん、大泉洋さん、吉田羊さんなどの俳優・芸人さんたちもたくさん出てきます。

一人で曲を作る様子や、くも膜下出血で倒れてしまい手術したことなども描かれているので、今まで歌しか知らなかった〜という人も、どんな人なのかがよくわかる一冊になっています。

子供の頃の未来のイメージを思い出した

読んでいて、ふと、立ち止まってしまうことが多かったことのように思います。

というのも、わたしは昔、作曲家になりたかったんです。

物心ついた時からずっとピアノを弾いていて、作曲がわたしの持ち味だと思っていました。

没頭してしまうと食べることも忘れてずっと集中しているような性格だったので、アーティスティックな生き方は染み付いていました。

夜も好きだったし、いくらでも起きていられたので、大人になったら昼夜逆転してしまうかのような、そんな生活を送るものだと思っていました。

でも、そんなことはいつの間にか忘れてしまって、「普通の人間になりたい」と思ったときから普通の人間へ進む道を歩み始めました。

社会人生活をしてみないと!と意気込んで会社に入ったものの、馴染めない自分がいた。

それはなんでかがわからなかったけれど、このエッセイを読んでいてふと腑に落ちました。

子供の頃からのイメージは簡単には消えない

子供の頃から「仕事=没頭するもの」というイメージがあったから、会社員の規則正しい生活、作り上げた成果ではなく、存在給として月給が支払われていることに虚しさを感じてしまったんだということがわかりました。

今更きづくなんて・・・(笑)

だから、星野源さんの生き方は、わたしが憧れていてもの、そのものだったんです。

ラジオも好きでニッポン放送を聞いて育ったわたしは、いつかニッポン放送で働きたいと思っていました。

それを同じようにラジオっ子だった星野源さんは、自分がパーソナリティになることで叶えている。

作曲をして、たくさんの人に感動を届けてる。

東京・没頭・作曲

この3つが星野源さんのエッセイの中でわたしが共感したこと。

今わたしは「没頭」以外を手放してしまっているけれど、いつか取り戻したいと思うことができました。

「普通の人」になりたいと歩み始めたら、今度は戻り方がわからなくなって、今は道に迷っている途中だけど、いつかちゃんと戻りたい。

良い言葉がたくさんあったから紹介するよ

わたしの話はさておき、良い言葉がたくさんあったので3つご紹介したいと思います。

いつだって、世界を彩るのは、個人の趣味と、好きという気持ちだ。(P.154)

これだけ体現している星野源さんの言葉なら、本当だなーとスッと入ってきます。

よく言われている言葉だけど、きっとそうなんだと思う!♡

どれだけ「イタい」と言われようと、「中二病」と馬鹿にされようと、そんなつまらない言葉には負けず、人はどんどん妄想すればいいと思う。現実を創る根本の大本は、想像力である。(P.186)

妄想大好きなわたしだけど、そっか、妄想しちゃえばいいんだ!となりました。

だって人はイメージしたことを形にしていくものだから、好きな妄想は爆発させて、どんどん理想の未来を作って行けばいいんだ。

10年ほどエッセイを書き続けて気づいたことですが、文章のプロとは、ありのままを書くことができる人ではないかと思います。(P.194 あとがき)

最後は文章のこと。もっとシンプルに、考えていることをそのまま伝えられるようになりたい、と思ってしまいます。

最後に

毎日エンドレスリピートして聞いていた『YELLOW DANCER』の生まれた経緯も、作曲している様子も、大好きな大泉洋も登場してきて、色々大満足でした。

ふふ、と吹き出しちゃう場面もあったり、源さんを通して、自分の人生をたくさん考えてしまいました。

星野源さんのファンも、ファンじゃない人も、楽しめる一冊だと思います^^

こんな人におすすめ

  • 星野源さんのファン
  • 芸能人の裏側が気になる
  • 作曲ってどうやってするの?と気になる
  • ゲームが好き
  • ドラマが好き
  • 笑えるエッセイが読みたい

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美しい日本語の世界にひたる散文集【今日のセレクト本vol.71】

江國香織さんをご存知ですか?「東京タワー」「間宮兄弟」など、ドラマや映画化された作品も多数ある作家さんです。私は江國さんが大好きなのですが、新刊『物語のなかとそと 江國香織散文集』が最高だったので、紹介したいと思います。魅力やおすすめポイントをまとめました。

江國香織さんの『物語のなかとそと』

こちらはこの20年の短い小説と、エッセイが集められた、散文集です。あの小説の裏側はこうなっていたんだ!とか、江國香織さんってこういう人だったのね。ということがたくさん発見がありました。大好きな小説の一つに「金米糖の降るところ」がありますが、これも苦労して書かれた様子が描かれていて、なんとも愛おしい気持ちになりました。

日本語が美しいのが何よりの魅力

江國さんの言葉選びは本当に素敵で、一つ一つの言葉を読みこぼさないように、じっくりと読みました。いつもの3倍ほどの時間をかけて、じっくりと。それでもわからない言葉もあって、

  • かまびすしい(やかましい、という意)
  • 種なしピオーネ(大きめのぶどうの品種)

がわたしの辞書のなかに増えました。普段使っている日本語も、こんな風に洗練して使いたい、と大切に思ってしまいました。

わたしの心を代弁してくれているんではないか、という錯覚

初めて江國香織さんの小説「神様のボート」を読んだのが、大学生の時。それ以来、わたしの中では、江國香織さんが神格化してしまいました。わたしの心を代弁してくれているような、主人公がわたしかと錯覚するような、こんなこと言うのも恐れ多いけど、似た感覚を持っているのではないかと思ってしまう瞬間が何度もあるからです。誰かの中に無意識に健在している疑問や思いを、言葉にしてくれているのかな、とも考えてしました。

エッセイの中で衝撃的だった考え方や生活

今回はせっかくなので、私が逆に「こんなこと考えたことない!」と衝撃を受けたものをいくつかご紹介したいと思います。あくまで江國さんは淡々と、冷静に、綴っていますのでその世界観も伝わればいいなと思います^^

本の世界に生きるということ

本をたくさん読むのはわたしも同じなのですが、この感覚は持っていなかった!

昼間の時間の八割は本を読んでいるか書いているかで、家事その他、現実に対処する時間はたぶん二割。そのくらいだと思います。例えばこの二十年間、わたしが二割しか現実を生きていなかったとすると、二十年の二割は四年ですから、たった四年しか現実を生きていない計算になります。たった四年しか生きていないのに二十年も年を取ってしまったわけで、これもう、驚くなという方が無理な話です。(P.135)

逆に言えば、物語に没頭しているときは、現実に生きていないから、気をつけないといけないなと思いました。確かに、「家で何しているの?」と聞かれて「何してるんだろう・・・」と困ってしまったことがよくありました。でもよく考えたら本を読んでいるんですよね。この本を読んでいる時間が遥かに長いから、現実を生きていなかったということになります。

火葬場で褒められたい願望

これはなかなかわたしの発想にはなかったのですが、江國さんは火葬場で骨を壺に納めてくれる人に褒められたいのだそうです。

贅沢なかただったんですね。ええ、お骨を見ればわかります。(中略)尋常ではない量の果物を召し上がったんですね。メロン、西瓜、桃、ぶどう、梨。お骨の一つ一つがみずみずしい。こんなにつやつやしているということは、いいお酒をのまれてきたんですね。(中略)私、もう長いことこの仕事をしておりますが、こんなに幸福そうなお骨は見たことがありません(P.192)

だから今日も、全力で美味しいものを食べるんですって。私もたくさん美味しいものを食べたくなってしまいました。自分の魂が抜けて、骨だけになったところを想像するって、つるんとした気分になれて意外に清々しいものです。

こんな風に江國さんの日常や、考えていることの詰まった一冊でした。エッセイって人柄が出ると思いますが、江國さんはそれでも謎に包まれていることがあるから、人を惹きつけるのではないかと思います。わたしもまたハマってしまいました♡

まとめ:ゆっくりと落ち着いた空間で味わって

江國さんの魅力はまだまだまだまだまだまだ、わたしなんかじゃ届かないんだってことを、読めば読むほど感じます。どうしてなのかわからないけれど、孤高の存在のイメージ。いつか近づけるように、わたしも自分の道を頑張りたいと思いました。ぜひゆったりと、どんと構えて、この本を味わってみてくださいね。

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