原田マハ著「夏を喪くす」。珍しい不倫小説【今日のセレクト本vol.77】

不倫、仕事、家族と忙しい中でも頑張っている40代女性。そんな女性たちを描いた恋愛小説をご紹介します。

こちらの記事では、原田マハさんの「夏を喪くす」を特集しました。本のあらすじ、感想や魅力をまとめました。

夏を喪くすのあらすじ

「夏を喪くす」は40代女性が主人公の4つの短編集です。ちなみに「喪くす」の読み方は「なくす」。4つのお話をそれぞれピックアップすると以下の通り。

● ごめん
海外に不倫相手と旅行中だった陽菜子。日本に帰国すると、海外で楽しんでいる間に、夫は事故に巻き込まれて、植物状態になってしまっていました。

● 夏を喪くす
不倫相手に指摘され、病気が発覚した咲子。夫に話そうかと電話しても、冷たい反応…。全てがうまくいっていた咲子が転機を迎える

● 最後の晩餐
あの日から姿が見えなくなってしまったクロ。麻理子はニューヨークに向かう。

● 天国の蝿
娘が置いていった詩の雑誌。パラパラと読んでいると「天国の蝿」という奇妙なタイトルが目に止まる。ふと読んでみると、その詩は・・・。

不倫や家族との関係、仕事など40代女性の人生の岐路についての物語が展開されています。

2012年10月に講談社文庫から発売されました。ちなみに『夏を喪くす』は文庫本の際に改題されていて、元々は「ごめん」という題名でした。

夏を喪くすの感想・魅力

「夏を喪くす」の感想や魅力をまとめると、以下の2つ。

①原田マハさんと違う!
②人生大切に生きていきたいと思う

それぞれについて見ていきましょう。

①原田マハさんと違う!

まず1つ目は、いつもの原田マハさんのテイストと違うこと。アートを題材にしたり、とにかく感動的で最後は泣いちゃう小説を書く人気作家さんですが、こちらは「ブラックマハ」といわれるほどテイストが違います。

人間のダークサイドが描かれていて、でも最後はほんわか心が前向きになり、スッと軽やかになりました。

②人生大切に生きていきたいと思う

そして2つ目は、人生を大切にいきていきたいと思えたこと。不倫、恋愛、家族、仕事。全てのバランスがうまくいっていて、とってもカッコよく生きている女性だって、人生何があるかわからないんだなと思ってしまいました。

岐路に立った時に迷わないように、目の前にある人も物も大切に生きていきたい、そんな風に思います。潔く、勇気ある決断をした「夏を喪くす」の咲子がかっこよくて好きでした!最後のメールが特に大人でした。

夏を喪くすのまとめ

夏を喪くすは、アラフォー女性にとって重なる部分があったりなかったりするかもしれませんが、女性が考えちゃう部分が多いことは間違いありません。いつもと違う原田マハさんの魅力にも出会える一冊です。

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原田マハ「フーテンのマハ」小説の裏話が満載の旅エッセイ【今日のセレクト本vol.66】

「たゆたえども沈まず」や「旅屋おかえり」など、泣ける本・アートな本で有名な原田マハさん。小説の裏側がわかる魅力的な旅エッセイもあるんです。

こちらの記事では、原田マハさんの「フーテンのマハ」を特集しました。本のあらすじや内容、感想や魅力をご紹介します。

フーテンのマハのあらすじ、内容

「フーテンのマハ」は、小説家原田マハさんの旅エッセイです。モネやピカソ、ゴッホなどを名だたる画家を題材にした小説を創作する裏側を紹介してくれます。日本や世界各地を巡りながら、食べて買って、一緒に取材している気分にしてくれる一冊です。

ちなみに「フーテンのマハ」とは、「風天の寅さん」からきていて、自称「フーテンのマハ」と名乗るほどの旅好きなのだそう。2018年5月に集英社文庫から発売されています。

フーテンのマハの感想・魅力

「フーテンのマハ」を読んだ感想や魅力をまとめると、以下の3つです。

①小説のシーンがよみがえる
②奥深いアート作品の執筆背景が知れる
③原田マハさんのチャーミングさがわかる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①小説のシーンがよみがえる

1つ目は、小説のシーンがよみがえること。エッセイを読んでいると、「きっとこの場所であの本」そして、「この感情はきっとこの本が生まれたんだな〜」と気づいてくるんです。しみじみしてしまうので、原田マハさんファンにはたまりません♡

②奥深いアート作品の執筆背景が知れる

そして2つ目は、奥深いアート作品の執筆背景が知れること。マハさんは、ゴッホやピカソなどを始め、名だたる画家たちを題材にした作品を残していますが、ストーリーの素晴らしさと合わせて、当時の様子や画家について深く勉強できます。

感動して驚くとともに、どうしてこんなに深く研究できるのか謎でもありました。でもそんな疑問も、エッセイの中で「たゆたえども沈まず」の取材の様子を見ていくうちに、裏側を知って納得できた気分になりました。

③原田マハさんのチャーミングさがわかる

そして最後は、原田マハさんのチャーミングさがわかること。とても朗らかで、魅力的な女性に映りました。

40歳を超えてから大学の同級生と始めた女二人旅「ぼよグル」や、一人でふらりと行く旅、画家たちの軌跡を追う取材旅行など、旅の幅も広くて読んでいて次から次へと新しい発見があります。

小説家になった経緯も、読んでいて意外で、なんだかわたしも元気をもらったような気持ちになりました!中でも挿絵が直筆のようで、マハさんの絵心にも驚きでした!人柄が伝わってくるようなチャーミングさにも注目です。

本フーテンのマハのまとめ

裏話を知ったら読みたい本がまた増えてしまいました!マハさん好きにはたまらない一冊です。旅のスタイルは人それぞれ。旅好きな身としては、とても共感する部分が大きかったです。マハさんが好きな人も、旅エッセイとしてもおすすめです。きっともっと原田マハさんの本が読みたくなるはず♡

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ゴッホの魅力がかる小説!たゆたえども沈まず【今日のセレクト本vol.17】

名作を読んで泣きたいときってありますよね。そんなときにおすすめなのが、画家ゴッホを題材にした小説です。

こちらの記事では、原田マハさんの「たゆたえども沈まず」をピックアップしました。ネタバレしないあらすじ、魅力をご紹介します。

たゆたえども沈まずのあらすじ

「たゆたえども沈まず」は、ゴッホを題材にしたアートフィクションの小説です。舞台はゴッホの生きていた1980年〜1990年代の19世紀末が描かれています。

私たちがパリの景色だと思っている「エッフェル塔」がちょうど建てられている時代です。物語に出てくるのは、ゴッホ、彼を支える弟のテオ、日本人画商の林忠正、助手の重吉。彼らが無名画家のゴッホに出会い、支えていく様子が描かれています。

現在は文庫も発売されています。

たゆたえども沈まずの魅力

たゆたえども沈まずの魅力は以下の3つ。

①日本美術とパリの関係が分かる
②ゴッホの絵の価値が伝わる
③パリに行きたくなる

詳しく解説していきます。

①日本美術とパリの関係が分かる

まず1つ目は、日本美術とパリの関係がわかること。パリでは当時「ジャポニズム」という日本美術が流行っていて、それに関わっていたのが日本人画商の忠正と重吉でした。ただ日本に住んでいるだけでは知ることができない、当時の美術史も垣間見ることができます。

②ゴッホの絵の価値が伝わる

そして2つ目は、ゴッホの絵の価値が伝わってくること。ゴッホは「生きている間に売れなかった画家」としても有名だと思います。それがどんなに辛くて、1つ1つの絵を苦労して生み出されたのかということが全然わかっていなかったことに気づきました。

当時は画家が一種の職業のようにいた時代。モネやマネ、ゴーギャンなども出てきます!(世界史で出てきた人物がいっぺんに出てくるからびっくり)貴族の中では絵を飾ることがステータスで、ご婦人たちは新しい絵を買うことを日常的に行っていました。

その中で1枚も売れない絵を描き続けるフィンセント。自分の才能を認められない苦悩は自分だけでなく、支える家族のテオも同じでした。フィンセント(ゴッホ)と弟のテオの絆が深くて、お互いを思いやる兄弟愛に涙しました。あーまた泣きそうです。

③パリに行きたくなる

読んでいるだけでパリにいるような気分に浸れた2日間でした。気になってどんどん読み進めてしまったからすぐ読み終わっちゃった。

パリにもゴッホ兄弟のふるさとオランダにも行ってみたい。下手したら暗くなりそうな題材を全然そんな空気にせず、美しく、毅然と、それぞれのキャラクターをきっとそのままに私たちに伝えてくれました。

涙涙で、また読みたいです。確実に私の今年のベスト本ランキングに入ってきそうな勢いです!マハさん天才!

たゆたえども沈まずのまとめ

たゆたえども沈まずは、涙ありの名言ありの素晴らしい小説でした。大切に大切に何度も読んでいきたいような物語。ゴッホを知らない人も、ゴッホがなんとなく好きだという人も、きっとさらに魅力に取り憑かれてしまうことでしょう!(こちらを読んでからゴッホ展に行ったら最高でした♡)

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