「ランチのアッコちゃん」柚木麻子【今日のセレクト本vol.28】

仕事の方法って悩みませんか?「あの人にはできてどうして私にはできないんだろう」と思ってしまうことがたくさんあります。

そんな時に少し答えをくれそうなのが今日ご紹介する、柚木麻子さんの『ランチのアッコちゃん』です。ネタバレしないあらすじ、ランチのアッコちゃんの魅力やビジネスにつながるポイント、名言をご紹介します。

ランチのアッコちゃんあらすじ

 

地味な派遣社員の三智子(みちこ)は、彼氏にフラれて落ち込んでいました。そこで声をかけてきたのが、アッコさんこと黒川敦子部長。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」と言われた三智子は、周りの社員にバレないように自分のお弁当を渡す代わりに、アッコさんからランチ代とルーティーンにしているランチ店のメモをもらいます。

アッコさんのランチは気まぐれではなく、日替わりで行く先が決めてルーティン化しているのが特徴です。毎日アッコさんのルーティーンランチを体験し、行く先々の店員さんやお客さんと話をしている中で、三智子の中でたくさんの気づきが生まれるというストーリー。ほかにも4つの短編が掲載されています。

累計40万部の大人気シリーズ

このアッコちゃんシリーズ、第3弾まで出ている人気シリーズです。累計40万部発行されていて、

読むとどんどん元気が出るスペシャルビタミン小説!!

と紹介されています。働いているアラサー女性におすすめの、元気が出る小説なんです。

ランチのアッコさんの魅力

アッコさんのランチを読む中で、私が魅力に感じた点は以下の2つです。

①同じ時間を過ごしても差が出ることに気づく

三智子はこれまで、社内でお弁当を食べていました。一方でアッコさんは外に出て、いろんな人と交流していました。同じ会社に勤めていても、ランチの時間だけで人脈は広げられるし、自分の過ごし方次第なんだなぁと考えさせられました。

「人脈を広げたい」「自分を成長させたい」という意識の仕方一つで、こんなにも差が出てくるんです。普段の私の生活を見ても、家にこもって作業をしていたり、ヨガのレッスンには行くけれど挨拶以外は何も会話がない…ていうことも良くあります。

②アッコさんを見習うと変化がでた

今日はアッコさんを見習って、ヨガのレッスンに行った時に常連さんと朗らかに話してみました。お互いの家が近いことや、仕事の事情もシェアできたりと、新しい発見がありびっくり。

そして、愛犬の散歩でも話しかけたそうな方に「こんにちは」と挨拶してみました。すると不思議なことに10人以上の人と話せたんです。春の陽気のおかげもあるかもしれませんが、たったこんな心の持ちようで変わるものかと驚きました!

ランチのアッコちゃんはビジネスチャンスのヒントに繋がる

『ランチのアッコちゃん』は、全部で4つの短編集。名言も出てきますし、4つのパターンのビジネスが出てきてとても勉強になります。気づいたのが以下の2つ。

①ダメなら自分の立つステージを変える
②世の中の見方を変える

詳しく解説しますね。

①ダメなら自分の立つステージを変える

何度チャレンジしてもうまくいかずに凹んでしまうことは、よくあります。「私には才能がないのかな」と感じてしまうことも私もよくありました。

でも、1つの仕事でうまくいかなかったからって、その人がダメなんじゃない。その時にもらった言葉を成長の糧として捉えて、自分が輝けるステージに移動すればいいだけなんですよね。色々なビジネス本で言われていたエッセンスが詰まっています。

②世の中の見方を変える

また、アッコさんがビジネスを展開して行く世界がとっても刺激的でした。「夜食のアッコちゃん」という第2話でのこと。アッコさんが始めたポトフのお店を三智子が手伝うことになったのですが、その時間が夜更け。

そこで「こんな夜更けにポトフを買ってくれるお客さん、本当にいるんですか?」という質問をぶつけます。すると

あなた、世の中の人間が全員、朝起きて夜寝ると思っているの?皆、あなたみたいに九時から六時のタイムスケジュールで働いていると思っているの?

とアッコさん。自分が当たり前と思っていたことから一旦離れて見ること、世の中の見方を変えることで、世の中のニーズに気づくことができるんだなということに気づけました。発想の転換をして、何かニーズを見つけてビジネスにしたいという人の参考になるかもしれませんね。

ランチのアッコちゃんのまとめ

『ランチのアッコちゃん』は読んでいると元気になる小説です。実は知っていたけれど気づかなかったこと、自分でもできそうな新しい発見があります。

元気が欲しいという働く女性、私にあう仕事ってなんだろう?と探している人、うまく会社でやっていく方法を探している人も読んでみてくださいね。

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中村航『デビクロくんと恋の魔法』【今日のセレクト本vol.78】

こんにちは、みさと(@mitikusa_tweet)です。

私の中で「純愛」といえば中村航さんです。今回ご紹介する『デビクロくんと恋の魔法』は途中まで話が見えてこなかったのですが…だんだん、ははーん♡と納得の展開!

恋愛小説好きな方、軽めの小説が読みたい気分の方、ぜひ手にとってみてくださいね^^



中村航『デビクロくんと恋の魔法』のあらすじ

書店員として働く山本光。善良な男の子で、元カノには優しすぎて振られました。

でも、彼には秘密があります。

それはデビクロくんの活動。

このデビクロくんというのは、彼の作り出したキャラクターでクロワッサンの耳をした悪魔のようなキャラクター。

自筆のデビクロくんのイラストとメッセージを「デビクロ通信」としてコピーし、街中に配るボム活動を行なっています。

時には自動販売機のお釣りの中へくちゃくちゃに丸めて入れたり、電信柱に貼ったり、ポストへ入れたり、企業の裏紙として使ってもらったり。

彼のボム活動はひっそりと、でも350号を超えるデビクロ通信を配っています。

***

デビクロくんが光だと唯一知っているのは、近所に住む杏奈です。

ある日、光が一目惚れしてしまった恋を応援することになった杏奈。

ここから物語が急展開し始めます…♡

中村航さんの小説は一気読み必須!

中村航さんの本を読んでいると、必ずと言っていいほど一気読みしていきます。

今回はスパートするという感じで、後半にぐわーっと追い込みしていきました。

恋ってどうして、こうも切なくなったり、「あーわかるよー♡」と共感したくなったりしたくなってしまうんでしょう。

初恋なんて覚えてない

私、初恋のことを覚えていないのですが、中には覚えている人もいますよね。

今回の小説の中で、そんな感じのことが出てくる場面があったのですが、なんとも羨ましい気持ちになりました!

そこまで人を思えること、ずーっと気持ちを大事にしている恋があったこと、なんて羨ましいのでしょうか♡

クールなわたしのハートには、なかなかそういう気持ちが芽生えた記憶がなく、ちょっと切なくなります。

最後に:さらっと読めちゃう小説をぜひ

小説には構えて読まなくちゃ!というものもありますが、こちらはさらりと読めてしまう小説。

中のデビクロ通信もいくつか読めてしまうので、一緒にボム活動されているような気持ちになります。

光の気持ちを反映したデビクロ通信は、読みながら「今こんなことを考えているんだ」とわかるし、「こうやって言葉やイラストに反映できるピュアな心と表現力がうらやましい」とさえ感じてしまいます。

こんな人におすすめ

  • 中村航ファン
  • 恋愛小説が読みたい
  • 小説初心者でも楽しめる本を探している
  • クリスマスに読みたい本

 

『今日のセレクト本』過去のバックナンバー

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家族の大切さをしみじみ感じる小説【今日のセレクト本vol.75】

こんにちは、みさと(@mitikusa_tweet)です。

家族と最近話をしましたか?色々な家族の形があると思いますが、誰にでも家族のありがたみを感じる瞬間ってあると思います。

普段はなかなか感じることができないけれど、小説で改めて読んでみると、家族の良さを改めて感じることができるかも!♡

今日はそんな一冊をご紹介します。



奥田英朗さんの『我が家のヒミツ』のあらすじ

敦美(31)は、東京・広尾にある歯科医院の受付として働いています。

そこに大好きなピアニストの大西文雄が、親知らずが痛いと診療にきます。

ファンとしてこっそりと、コンサートのスケジュールと抜歯の日を調整しながら、彼のことを応援しています♡

だけど家では不妊疑惑があり、夫と子供の話はなんとなく避けている状態。義母からもプッシュがあり、私生活では悩むこともしばしば・・・。

他にも、53歳で出世争いに負けた正雄、16歳で実父に会いに行くアンナなど、いろんな家族の6つの短編集です。

世代も男性・女性と様々な人たちの家族にまつわる物語で、誰かしらに自分を重ねてしまいそうになります。

奥田英朗、女性説

奥田英朗さんといえば『ガール』。

これを読んだとき、わたしは20代でしたが、アラサー女性たちの心理をピッタリと当てていて、まさにわたしではないか!?と思うほどのストーリーに釘付けになりました!

そのとき奥田英朗さんは、男性だと思っていたけれど、女性ではないかという情報が出ていて、わたしもまことしやかに信じてしまいました。

もう、男性でも女性でもどっちでも良かったんだけど、それはそれは心理描写がうまい方だなと思っていました。

それが今回読んで見て、表紙を開けたら奥田英朗さんの写真が出ていて、答えが出ました\( ˆoˆ )/

男性だった!

良かった。

謎が一つとけた。

なぜ、わたしのことを書いてるの?と錯覚してしまうのか

最後のあとがきで、大谷博子さんが「奥田英朗は「なぜそんなに人の気持ちがわかるのか」」ということに言及しています。

細やかなディテールを重ねることにより、読者を登場人物の気持ちに入り込ませているのである。アンナが舞い上がり調子に乗る描写も、周囲が他人の不幸を忘れるスピードの速さに亨が驚く様子も、具体的なエピソードを細やかに描くことで読者が彼らの気持ちを自分に重ね合わせるのりしろを作る。これが奥田英朗の腕なのだ。

と。描写自体が、わたしたちが感情を寄せてしまうスキルだったんですね。

わたしにはまだまだ分からない技術ですが、もう一度「ガール」を再読したくなりました。

世界一周中に日本人宿で出会った奥田ワールド

この本は、実は「家日和 (集英社文庫)」「我が家の問題 (集英社文庫)」とシリーズになっている第3弾。←短編だから読んでいなくてももちろん楽しめます。

初めて出会ったのは、世界一周中にステイしていた、ヨルダンの日本人宿の本でした。

「面白そう」というよりも、日本語に飢えてて手に取りました。すると、期待以上に奥田さんワールドにハマってしまいました。

奇跡的に前作2作ともを海外で見つけることができて、むさぶるように読みました。

そんなことも思い出して幸せな気持ちになりました!♡

みんなそれぞれ抱えているものも違うけれど、最後は助け合うのが家族。家族って大事だなぁとしみじみしてしまう一冊です。

ちょうど先ほど叔母から電話がかかってきて、10年ぶりくらいに話ができたのも重なり、家族のありがたみをひしひしと感じています♡

こんな人におすすめ

  • 家族が大好き
  • 自分以外の家族が何を考えているのか気になる
  • 最近家族に会ってないな〜
  • 色々な家族の形があってもいいってことを知りたい!

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