色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年|あらすじと読書感想文【今日の本vol.72】
全世界で注目される作家、村上春樹さん。この記事では、ニューヨークタイムズベストセラー第1位の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のあらすじや読書感想文をまとめました。
等身大のつくるくんと、周りのみんなの心の葛藤が描かれる小説です。文庫で読みやすいので、村上春樹さんが初めての人にもおすすめです。
目次
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年のあらすじ
主人公の多崎つくるは、夢だった鉄道の駅をつくる仕事をしています。彼は高校時代に、親友5人組がいました。女子2人・男子3人の完璧に調和した、すごく良い友人たち。それがハタチの時に突然絶縁されてしまいます。
・・・それから彼は心に蓋をしたまま、16年が過ぎていました。36歳になったつくるは、新しい恋人・沙羅に諭され、あのとき何が起きたのか、探しに行く旅を始めます。
著者の村上春樹さんとは?
今さらながら村上春樹さんを簡単にご紹介すると、「1Q84」「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」「騎士団長殺し」「スプートニクの恋人」など数々のヒット作を生み出している日本の小説家です。1949年生まれの2020年現在で71歳。
1987年に発表した「ノルウェイの森」は、2009年に上下巻1000万部声のベストセラーとなり、英語に翻訳された小説も数多く、国内外での人気を集めています。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の読書感想文
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んだ感想や魅力をまとめると、以下の3つです。
①タイトルから想像しすぎた
②多崎つくるは、等身大のつくるくんだった
③リアルな36歳が描かれている
それぞれについてみていきましょう。
①タイトルから想像しすぎた
1つ目は、タイトルから想像しすぎたことが逆に衝撃だったこと。「巡礼」と聞いて、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラのような聖地巡礼を想像していました。しかし意外にも拍子抜け。3度挫折してやっと読み始めましたが、実はつくるくんはどこにでもいそうな人でした。
②多崎つくるは、等身大のつくるくんだった
読んでみて意外だったのは、多崎つくるは、36歳のつくるくんでした。何も巡礼するほど高尚な人ではないし、彼は彼なりに悩んでいます。大学のときに名古屋から東京に出てきましたが、心の拠り所は名古屋の4人。
それが突然、拒絶され、彼は帰る場所をなくしました。かといって東京に馴染むわけでもなく、ただ淡々と悩みながら日々を過ごしていました。
③リアルな36歳が描かれている
私は感情の起伏が激しいから、つくるくんのようには冷静には自分を保っていられないけれど、きっとこういう男性はいるんじゃないかという気分になりました。
そういうどこにでもいそうな人が主人公の物語。舞台は東京、名古屋、フィンランドと移動をしていきますが、つくるくんの淡々さのおかげで落ち着いて旅をしていきます。
行列・徹夜で読みふける人は超人
そもそも、わたしがこれだけこの本を「すごい本だ!」と思い込んでいた原因はニュースだったと思います。発売当時のニュースは今でも覚えていて、発売前日の夜中から本屋の前に行列を作って並び、さらに買ったらすぐに本屋さんに座り込んで徹夜で読破していた人が続出していたというもの。
読んでみて、確かにすごく面白いし、村上春樹さんの言葉の巧みさ、深さは何度も感じて、なんども読み直したページがたくさんあります。ただ、そこまでのめり込むのは「超人」だなと思いました。ハマるのは人それぞれ。それで良いと思います。
まとめ
この本を読んだばかりだというのに、続きが気になって、気になって、仕方ありません。頭の良い人は、この続きがどうなるのか想像がついているのでしょうか。その後どうなったのかの考察やレビューは、その方達に譲りましょう。