「卵を買いに」ラトビアに恋した小川糸さんのエッセイ【今日のセレクト本vol.23】

卵を買いにの画像
BOOK

作家の小川糸さんが毎年出版するエッセイは、海外生活や日本での丁寧な暮らしが詰まった魅力あふれるエッセイです。こんな生活したいなと思わず憧れてしまう人も多いはず♡

こちらの記事では、幻冬舎文庫出版の小川糸さんの「卵を買いに」をピックアップしました。内容や本の魅力、感想をご紹介します。

「卵を買いに」の内容

「卵を買いに」は糸さんが毎年出している日記エッセイです。毎年タイトルが違いますが、絵のテイストが似ているのですぐに「あ!今年も出てる!」とわかります。

1月から始まり、12月の年末を迎えるまでの日々が日記のようにまとめられています。1ヶ月に4〜5本くらいのペースで書かれているので、糸さんの仕事の流れや、スケジュール感、そしてこんな国に行っているんだということがわかるんです。

作家さんなのですが、いろいろな国に旅をしています。取材の旅もありますが、夏は避暑を兼ねてベルリンとか。なんともゴージャスかと思いきや、地に足をついた暮らしをされているので、慎ましくて丁寧で憧れてしまいます。

「卵を買いに」の内容の魅力・感想

「卵を買いに」の魅力は以下の2つ。

①ラトビアに恋してしまう
②愛犬「ゆりね」がかわいすぎる

ラトビアのことも知れるし、とくにゆりねがかわいすぎて、胸キュンものです。

①ラトビアに恋してしまう

今回の目玉はラトビア!糸さんは取材で訪れていますが、その歴史的背景に私も驚きました。ソ連占領下にあったとき、ラトビアの人々は伝統衣装も踊りも、国の歌を歌うことすら禁止されていました。

そこで彼らは独立を目指すのですが、その方法が素晴らしいんです。武器を持つのではなく、「歌を歌う」ことで革命を起こし独立を果たします!そして今、伝統的な衣装を着てダンスができることに誇りを持っていてキラキラしているんです。

ちょうど糸さんが訪れたのが5年に1度行われる「歌と踊りの祭典」。地方からラトビアの首都リガに集まった子供達が、それぞれの伝統衣装を着て歌い踊ります。選ばれた1万5千人がステージに立ち、7万人の観客たちが見守る。ソ連からの迫害にも耐え、守ってきた自分たちの伝統が一気に解放される祭典。

考えただけで胸にこみ上げてきます。ラトビアといえばバルト三国の一国ということしか知らなかったけれど、こんな背景があって、自分たちの国に高い誇りを持っているとはしりませんでした。

振り返れば、私自身も日本文化は好きだけど、それを自分が発信して行こうとか、伝統を守るために学ぶということを自主的に行っていない。国を上げて、ラトビアの人々は自国の誇りと伝統を守ろうとしている姿がとても美しく思いました。「歌と踊りの祭典」をぜひ訪れてみたくなりました。

ちなみにこの取材を元に描かれたのが「ミトン」という小説。涙ありの美しい小説です。

愛犬「ゆりね」がかわいすぎる

卵を買いに画像

そしてもう1つ注目はゆりねの成長です。糸さんの愛犬は、表紙にも描かれている白いもふもふのワンコでその名も「ゆりね」。ちょっとずつ大きくなっていく姿や、糸さんがかわいがっていることが伝わってきて会ってもいないのに愛しくなってしまいます。

近所の仲良し犬との交流なんかも描かれていて、なかなか仲良しのわんこ仲間がいない私は影ながら憧れてしまいます。しかもちょうど私は愛犬ココをお留守番させて実家に帰省していた最中。とても会いたくなってしまいました。

「卵を買いに」のまとめ

今回もフィンランド、ベルリン、そして北海道のニセコなど様々な国や地域に赴いている糸さん。でも1番はラトビアでした。なかなか旅したことがない方も多いと思うので、空気感が新鮮に映るはず。味わってみてくださいね。

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misato

管理人のみさとです。フリーランスのヨガインストラクターでライターをしているアラサー。年間150冊ほど本を読む読書好き、20代には女ひとりで世界一周をしました...

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