幸せな時間を感じる小説「ジュージュー」よしもとばなな【今日のセレクト本vol.32】
居心地のいい幸せな時間を過ごしたくなるときにおすすめなのが、「ジュージュー」という小説です。
こちらの記事では、よしもとばななさんの「ジュージュー」を特集しました。ネタバレしないあらすじ、読書感想文、魅力をご紹介します。今のままで幸せなんだよ、ということを教えてくれる一冊です。
ジュージューのあらすじ
「ジュージュー」は、家族経営のハンバーグ&ステーキのお店の名前。下町のジュージューを舞台にした物語で、主人公は美津子ことみっちゃんです。
おじいちゃんからついだパパとママのお店でみっちゃんは育ち、今はママがなくなり、元恋人の進一とパパと3人で切り盛りしています。ママの大好きだった漫画の「サラミちゃん」と一緒に、ママの思い出がたくさん出てきたり、ジュージューでの日々が綴られた物語です。
ジュージューの読書感想文・魅力
ここからは、ジュージューを読んだ感想や魅力について見ていきましょう。魅力をまとめると以下の3つです。
①登場人物たちが奇妙で愛すべきキャラクター
②等身大のみっちゃんの生き方がすてき
③家族のあり方を考えられる
それぞれについて解説します。
①登場人物たちが奇妙で愛すべきキャラクター
まず1つ目は、登場人物たちがどの人も陽気で、一風変わっていてクセがあること。一緒にお店を切り盛りしている進一は、実は両親に捨てられて兄弟のように育った子で、しかもみっちゃんの元彼です。
進一の両親はひょっこり進一に会いにお店にハンバーグを食べに来ることもあります。息子を捨てたのにこざっぱりしていて、なかなか潔いものです。そして進一の奥さん・夕子さんは前世が見えちゃう人。なかなか設定が奇妙で、だけど、愛すべき人たちばっかりでした。
②等身大のみっちゃんの生き方がすてき
みっちゃんは亡くなったママを大事に思っていたり、今この時を幸せに感じていたりしている女性です。私だったら、代々続いたお店を「ダサい」と思ったり、「もっと私なら何かできるかも!」と思ってしまうだろうな…なんて思ってしまうかもしれません。
だけど、みっちゃんはお店のことを誇りに思っていて、なんて素敵なんだろうという気持ちにさせられました。卑屈でもないし、かと言って向上心がないわけでもない。その絶妙な幸せな世界が、読んでいてとっても居心地がよかったです。
③家族のあり方を考えられる
みっちゃんがママのことを大事に思っているように、パパもママがいなくなって心に穴がぽっかり空いた状態になっています。そんなパパを励ましているのもみっちゃん。そして進一もどっしりと構えているようで頼り甲斐があるように感じました。
血が繋がっていなくても、お互いを信頼しているみっちゃん家族がとても素敵に感じました。私も実家の家族ともっと仲良くなりたいし、親孝行したいし、旦那とも良い家族を作りたいなと思いました!
ジュージューのまとめ
等身大の自分を好きでいることを教えてくれるような、みっちゃんの暮らし。幸せについて考えさせられるし、むしろ今のままでとっても幸せだということを感じられる小説です。日々の暮らしに疲れてしまったときに、ぜひ手にとって見てくださいね。