大阪の魅力たっぷり西加奈子さんの小説「通天閣」【今日のセレクト本vol.35】
大阪の魅力全開の小説が、西加奈子さんの「通天閣」です。「大阪をなめたらあかんで!!」と言われているような気持ちになりました。
こちらの記事では、大阪の空気がたっぷり詰まった西加奈子さんの『通天閣』をご紹介します。ネタバレしないあらすじと感想・本の魅力を解説します。
通天閣のネタバレなしのあらすじ
「通天閣」の舞台は、通天閣のふもと、大阪ミナミ。主人公は恋人マメがニューヨークに行っちゃった私(雪ちゃん)と、工場に勤めている俺の2人です。
「私」は一途な女の子
恋人のマメが急にニューヨークに行ってからというもの、私は置いていかれてしまいます。でも一途にマメのことを思って待つことにします。
マメも頑張っているからと、これまでやっていた昼の仕事はやめて、スナックの黒服として夜の仕事をしながら耐え抜いています。
「俺」は工場勤務の男
そしてもう1人の主人公の俺は、工場に勤めながら、人生を淡々とやり過ごしているような人間です。アパートも服もボロそうだし、ご飯も決まったものしか食べない。なんでこんな人生になっちゃったの?というほど達観した、平坦な暮らしをつらぬく男です。
最後の急展開に引き込まれるのがお楽しみ
この2人、全然関係ない2人かと思いきや、最後はまさかまさかの展開でびっくりしました!大阪はお節介で、人の距離も近くて、温度感が全然違くて新鮮でした。
ちょっと汚くて貧しい感じがしたのは、地域がらなのでしょうか?まだ日本にもこういうエリアがあるのかと思うと、異世界の外国を覗いているような気持ちになりました。
通天閣の魅力・感想
通天閣を読んだ感想と魅力をまとめると、以下の2つ。
①ゴリゴリの大阪を感じる
②西加奈子ワールドに圧倒される
それぞれについて解説します。
①ゴリゴリの大阪を感じる
ゴリゴリの大阪を感じざるを得ない!というのが1番の感想でした。実はこちらの本は、知り合いの人に教えったもので「音読をしてみてください」とおすすめされました。
ちょっとは東京から西側に住んでもう9年になるので、ちょっとは大阪弁も話せるようになっていたかと思いきや…!本当に笑えてくるほど、わたしのエセ関西弁はひどすぎました!自分でも読み続けられない。
というか、発音がわからない。関西弁ってとっても難しいのは今も昔も変わりませんでした。「大阪をなめてもらったらこまんで!」と言われているようでした。
②西加奈子ワールドに圧倒される
そして2つ目の魅力は、西加奈子ワールドに圧倒されるということ。正直、何が何だかわからない、西加奈子ワールドと大阪という世界に圧倒された時間でした。
今度は大阪を知りたいと思ったときに、もう一度、じっくりと読みたいと思います。その時はきっと、うまく読めるはず。大阪の人、大阪が興味ある人はきっと面白い本です。
通天閣のまとめ
通天閣は大阪の魅力、そして西加奈子さんの世界観がたっぷり詰まった1冊です。これを読んで大阪にいきましたが、西成地区が「ここかー!!」という考え深い地区になりました。
大阪好きな人、憧れのある人にたまらない小説になるはずです。