幸せについて考える四つ話のクローバー。水野敬也著【今日のセレクト本vol.46】
「幸せってなんだろう?」と考えてしまうこと、ありませんか?そんなときに幸せへの疑問の糸口になるヒントが詰まった本をご紹介します。
こちらの記事では、水野敬也さんの「四つ話のクローバー」を特集しました。本のあらすじ、感想や魅力を解説します。
四つ話のクローバー のあらすじ
「四つ話(よつわ)のクローバー」は幸せになるための4つの短編集です。四つ葉のクローバーにちなんで、幸運を舞い込む4つの架空のストーリーが綴られています。
1. 深沢会長の秘密
2. ハッピーコロシアム
3. 見えない学校
4. 氷の親子
それぞれ簡単にご紹介します。
1. 深沢会長の秘密
成功法則を教えてくれるという伝説の会長に会いに行く話。成功法則とはなにか?ということ、そしてこの会長は誰なのか?ということもお楽しみの一つです。多分みんなが知っている意外な人物だったので、それは本を読んで確かめてみてください。
2. ハッピーコロシアム
大晦日の恒例行事となったJHC(Japan Happy Classic)。『日本人はどう生きたら幸せになれるのか?』ということを競うコロシアムです。脳内神経伝達物質計測装置をつけて計測される『幸せ指数』で勝敗を競うバトル。
この年のバトルは「金持ちの真田氏 VS 僧侶のような天海氏」。この対極にいるような性格の二人が競う姿を見て、幸せの形や、どんな時に「幸せ」と感じるのかを客観的に見ることができるはず。
3. 見えない学校
いきなりホームで幽体離脱してしまった俺が、地縛霊たちの仲間入りをしてしまいます。地縛霊たちの卒業試験は「共感」すること。この「共感」をめぐって、自己中心的ではなく、いろいろな人の目線や立場で、視点を変えることを学んでいきます。
4. 氷の親子
遊園地では夏に「氷の動物園」の展示があります。その展示が終わって外に出されたのが氷の熊の親子です。夏の夜は暑くて、氷の体はどんどん溶けてしまいます。そこでパパの熊五郎が、息子の小太郎を救おうと、遊園地中を回って手立てを考えます。パパが息子のために頑張るのが切なくて切なくてジーンと来ました。
ちなみにこちらは単行本なので、文庫版はまだ出版されていないようです。
四つ話のクローバーの感想・魅力
四つ話のクローバーの感想や魅力をまとめると、以下の3つです。
①物語の奥にあるものが深い
②幸せとは何かの答えが見える
③難しいことは考えなくてもわかりやすい
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
①物語の奥にあるものが深い
物語の奥にあるものを読み取ろうとすると、すごく奥深い作品です。水野氏は何を伝えようとしていたのか?ということを考えると、ただストーリーを楽しむだけでなくて、国語の教材にもなりそうな話が揃っています。
②幸せとは何かの答えが見える
そして2つ目は、幸せとは何かの答えが見えそうなこと。『ハッピーコロシアム』を読んでいて、印象的だったのが、天海氏がごはんの対決の時に、ししゃもを食べる場面。
敵の真田氏はキャビアを食べていたのに、あえてししゃもを選んだ天海氏。これはどんな状況でどんなものを目の前にしていたとしても、その人の考え方や感じ方次第で幸せのかたちは変わってくるってことなんだと思います。
今自分の状況に満足していること、感謝していることが、笑顔につながっていきます。すると笑顔が、幸せを形作ってくれます。いつも「もっとこうならいいのに」と人をうらやんだり、自分の足りなさに目を向けていてはもったいない。
「ごはんが食べられて、あー、幸せだなぁ♡」と感じられること、それが幸せなんだと思います。だから人それぞれ、幸せを描いていけたらいいのかなと今は思います。そんなお手伝いをこれからの人生をかけてしていけたら、またそれも幸せだなと思っている私です。
③難しいことは考えなくてもわかりやすい
「四つ話のクローバー」は哲学的なことも混ざっていますが、水野氏のストーリーのおかげで、難しいことを考えなくてもスーッと心に入ってきます。中学生くらいから大人までが、いろいろな年代で楽しめるのではないかと思います!親子で読むのも素敵です。
四つ話のクローバーのまとめ
四つ話のクローバーは簡単に読めるのに、深く心に刺さってしまう物語です。「夢をかなえるゾウ」などベストセラー作家の水野敬也さんが書いたわかりやすいストーリー。考えごとをしたいときのヒントにおすすめです。